新約聖書のみならず、ユダヤ教の成立から、キリスト教がローマ帝国の国教になるまでを鳥瞰できる。
旧約、新約聖書からの引用箇所があったり、西洋史の知識が求められるが、適宜補足や図解を交え解説してあるので分かりやすかった。
立場が中立的であることと、喩えや論理の点でも優れており、興味本位や雑学として手にしても読み応えがあると思う。
ユダヤ教の律法主義にこだわらなかったイエスの活動が、没後に弟子や政治の思惑により新たな掟として生み出され、結果的に形を変えた律法といえる新約聖書に還元されたことは興味深い。
また、最終章での権威付けについての箇所。(聖書の)内容・中身とは別に、権威を付けたいという意思が働いて、権威は造られる。これは現代のブランディングに通ずるものがあると感じた。
全体的には、素朴な疑問や矛盾を感じる点を要所でフォローされており、読者の「なぜ」「もっと知りたい」に応える文章の構成がうまい。最後まで一気に読むことができた。