日本の近代史のさまざまなシーンから、「食」について切り取ってきたもの。
ペリーが日本料理で饗応されて「肉はないのか」と不満を漏らした話、大津事件のあとにロシア皇太子と明治天皇が軍艦上で食べたもの、伊藤博文のフグ好き、『食道楽』の村井弦斎が日露戦争のロシア人捕虜と食べた料理など、どれも面白い。
いずれの章も歴史的な事件や政治状況とからめて語られるのだが、調査がしっかりされており、時代背景などもじっくりと語ってくれるのが興味深い。食だけの本ではないのである。
一方で、歴史的な記述には軽率な点が目立ち、また思い込みだけで書いているような箇所も少なくない。もう少し頑張ってくれると良かったのだが。
前著『「食道楽」の人 村井弦斎』から派生して書かれたもの。そちらと合わせて読むと良いだろう。