本書でテーマとして論じているのは次の6つ
1:靖国問題
2:慰安婦問題
3:日韓問題
4:台湾問題
5:原爆投下問題
6:東京裁判
著者は、1941年と1945年、開戦時と敗戦時の外務大臣だった東郷茂徳のお孫さん
35年にわたって外務省に勤務し、主として対ソ外交問題に当たってきたようである
そんな彼が外務省退官後、世界各地の大学の講師などを歴任しつつ、彼が関心を持ち、
勉強してきたことについて色々と書いているのが本書
本人も言っているとおり、数年間の勉強期間であるから、おそらく、専門家にとってみれば、
事実関係などの認識に問題があるであろう
だが、私自身関心のある原爆投下問題に関して言えば、非常によく問題点などが整理されており、
一つの研究史として捉えてもよい。特に最近の研究成果に十分気を使っているのがよい
これを読めば、アメリカの研究者らがどのような問題点について論争を続けているのかが、ある程度理解できるであろう
また、これを読めば、原爆投下決定研究が主としてアメリカ人研究者によって行われてきたものであることがわかる
われわれ日本人が、歴史問題としての原爆投下問題について、真正面から取り組んでこなかったことが、ここに表れている
(と、著者は論じているわけです)
星が4つなのは、全体としてちょっと読みづらいことと、彼自身の主張について同意しかねるところがいくつかあることです。
ただ、外交官ならではのバランス感覚なんだろうな、という意味で高く評価しています。
読みづらいというのは、回想が多いのですが、書かれている文章が、「今」思っていることなのか、
当時そう思ったことなのかが、少しごっちゃになってしまっている感じがしたからです。