魏志倭人伝の記述自体から、邪馬台国を読みとる試みは多くなされてきた。
この書では、「同倭人伝」が書かれた頃の、北東アジア情勢(魏・呉・蜀の三国関係、朝鮮半島の状況、半島北辺の扶余族、鮮卑族、烏丸族などとの関わり)を踏まえて、「倭」の代表としての「邪馬台国」を解説しているので、「同倭人伝」記述への理解が深まるし、「魏」が、「倭・邪馬台国」に対して、他の周辺諸国・部族に比べて、飛び抜けて高く処遇していることもよく理解できた。
「魏志倭人伝」の記載をそのまま、うのみには出来ないかもしれないが、邪馬台国や「倭」の実情を読み解く史料として、決して、軽んずることは出来ない、との読後感である。日本書紀や古事記には、邪馬台国乃至それに対応する「勢力」(国や部族)の、明瞭な記載はないが、紀元後三世紀頃とされる畿内・大和政権成立過程を考える上で、同時期に北九州?に想定されている「邪馬台国」との関わりは、歴史学的考察で、無視され得ないと、感じられた。