<未読の方へ>
本作の感想の前に一つだけ。
前作『黒笑』の登場人物がけっこう出てくるので、これを読むか迷っているなら、
とりあえず『黒笑』の「もうひとつの助走」〜「選考会」だけは読んでから、
この本に進むことをおすすめします。
『怪笑』『毒笑』とは繋がっていないので、『歪笑』を読むにあたっては、
この2つはパスしても問題ないです。
<感想(読後の方だけお読みください)>
この『歪笑』は単なるギャグ小説に終わっていないのが良いです。
作家や出版社や編集者などなど、本に携わっている人々の日常を、おもしろおかしく描いているものの、
けっこうリアルな部分も多いと思います。
1冊の本を作り上げるために、それに関わる人たちがどれだけ苦心しているのか、
すごくよく伝わってきます。
基本的にはギャグ小説で、途中・途中に出てくる微妙な表現やセリフが笑えますが、
ラストに感動できる話も多くて、それがすごくジーンと来ました。
「読書が好き」「本が好き」という人に、ぜひ読んでもらいたいなと思える内容でした。
登場人物に触れると、『黒笑』のときから熱海が好きでしたが、今回もおもしろさ健在!
まさか『撃鉄のポエム』の続編が出るなんて(笑)。
『銃弾と薔薇に聞いてくれ―撃鉄のポエム2―』が、『撃鉄2』と略されているのが妙にツボでした。
その他、今作では編集者たちが大活躍で、そのあたりも見どころ。
ギャグっぽく書かれているけど、「作家から原稿を得るのに本当に苦労しているんだろうな」
というのが伝わってきます。
それと登場人物と言えば、実在の作家さんをモデルにした人がたくさん出てきて、それもおもしろい。
東野さんは本当に大沢さんと仲良しなんだなぁ、というのがわかります。
(玉沢って・・・笑)
書き下ろしの巻末のオマケもウケました。
唐傘ザンゲ『魔境隠密力士土俵入り』を読んでみたい(笑)。
東野さんのシリアスな作品ももちろん大好きですが、このシリーズも本当に好きなので、
ぜひぜひ続けてもらいたいと思っています。