著者の辰濃氏は、これまでに3回の歩き遍路を経験している。本書は、その3周目の遍路体験をつづったエッセイのパートと、四国遍路に関わりをもつ12人の人々を紹介するパートとから構成されている。
私も歩いて遍路道を1周したことがあるが、たとえば「『お接待』は生きるうえでいちばん大切なことは何か教えてくれる」といったような、多くの遍路が同じように感じているであろうことを見事な語り口で文章としてつむぎだしており、その手腕には関心させられる。また人物紹介のパートでは、へんろ地図をつくった人や霊場の住職などが紹介されており、こちらも経験者には非常に興味ある内容となっている。本書は、特に歩き遍路の経験者にはおすすめの一冊である。
同じ著者による類書に「四国遍路」があり、こちらは2周目の遍路体験をつづったエッセイで、本書のような人物紹介のパートはないが、こちらもおすすめである。