何年か前に読んだ、藤原彰著『餓死した英霊たち』(青木書店01年6月発行)という本の中で、太平洋戦争で戦没した日本軍の軍人の総数は約230万人。その過半数は戦死ではなく、食料が補給されないために起きた飢死(うえじに)であった。野垂れ死にであった。中隊長として中国大陸を転戦した著者の藤原彰氏は、日本軍の大量餓死の事実と、この惨禍をもたらした旧大日本帝国陸軍の体質と高級参謀と最高指導者たちの指導責任を告発するために、この本を書いたと語っている。
おびただしい数の兵士が、飢えと病気にさいなまれ、やせ衰えて、無念の涙をのみ、密林の中で餓死していった。あまりにも無知・無策・無責任な陸海軍の高級参謀たちの、補給無視の作戦計画、兵站軽視の作戦指導、情報収集力不在が原因であった。と詳しく説いていた。
日本がこのような戦争を始めてしまったことにたいして、「日本は、列強国に追い詰められて仕方なく開戦したのだ」などと戦争肯定する人たちに、昨日まで市井の片隅で家族と暮らしていたお父さんや兄弟たち、可愛い我が息子たちが赤紙一枚で召集され、故国を離れて数千キロの島々で地獄の苦しみの中で散っていった無念さなど想像することもできないだろう。
『餓死した英霊たち』の中で「右翼のエセ歴史屋たちの戦争美化は許されない」とも書いていたのを思い出してしまった。
本書では、戦争を忘れてはならないと、太平洋の島々で取材(写真は、貴重なものと思ったが)しながら説いているが、この戦争について深く洞察する視点が欠けているように思えたのが私の不満として残ってしまった。