つい先頃、文化勲章を受賞した小澤征爾の若かりし頃の名盤。
当方は小澤氏とは今ひとつ相性が悪く、名盤とされるカルミナ・ブラーナも全然肌
に合わず、数日で売ってしまったほどであり、熱心な小澤リスナーとは言い難い。
しかしながら、この版では余計な気負いもなく、音楽が耳に自然と入ってくる。
また、ここには、無調でありながら、日本の風土から出てくる音としか言いようの
ないトーンが聞こえてくる。ここには、ヨーロッパの厳しい風土を背景とする現代
音楽家の響きとは明らかに異なる響きがある。
当方はこれを聞くまで、現代音楽の響きで心が落ち着く(有り体で言えばアルファ
波が出る等)ことなどないものと思っていたが、認識を大きく変えた一枚である。
ノヴェンバーは、どうしても鶴田、横山両氏の楽器に耳が行きがちだが、この版で
はオケが非常に繊細にかつ、積極的に鳴っている。聞き流しても、快適であり、じ
っくり聞けば発見があるという一粒で何度でもおいしい演奏である。弦楽のための
レクイエムや、地平線のドーリアも、入っており、武満氏初期の重要曲が網羅され
ており、それもセールスポイントの一つ。(ジャケットも実によい)
小澤氏の武満は、グラモフォンに、鳥は星形の庭〜と、カトレーンがあるが、こち
らの版は自信に満ちあふれる演奏である故か、逆に聞くと身構えてしまうところが
あり、今ひとつのめり込めなかったが、この版での、気負いのなさは実に心地よい。
こういう演奏が多ければ小澤氏をもう少し聞き込むんですがね。