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武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす (中公新書)
 
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武家の棟梁の条件―中世武士を見なおす (中公新書) [新書]

野口 実
5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

現代の日本人がイメージする高潔で忠義を重んじる武士像は、近世に概念化され、明治以降、国家主義的教育の中で作られたものであり、本来、武士とは、「政治史的にはこの上もなく」暴力的性格の社会集団で、「職業的な殺し屋」的存在だった。この集団を束ねた「棟梁」とはなにか。その条件は。なぜ武家政権がかくも長期にわたって存続し得たのか。武士の本質と肖像を社会史的職能論により捉え、そこに浮かび上がる日本の中世を考える。

登録情報

  • 新書: 188ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1994/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4121012178
  • ISBN-13: 978-4121012173
  • 発売日: 1994/11
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By カスタマー
形式:新書
武士道や日本固有の価値が最近注目されている。
要するに、「昔の素晴らしさを思い返し、
昔に返ろう。日本人はすごいんだ!」という考え
のように感じる。

個人が生きていく上で、様々な思想に学ぶ事はいいことだと
思う。そのひとつに武士道があってもおかしくはない。

ただ、はっきり言って、そうした思想は素晴らしい面だけで

成り立ってはいない。多くの問題を抱えている。

この本は武士を、高潔な存在として書いてはいない。
実際の武士がどんなものかを描こうとされている。

武士道の素晴らしさに心酔している方には面白くないかも
しれないが、ものごとを多面的に捉えようとする意志を
持っている方には、ぜひ読んでもらいたい。

このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 義経・信長・家康などなど、日本人の英雄・豪傑と言えば、その大半は武家出の人と相場が決まっており、また、我が国の社会では「武士道」なるものが処世訓やビジネス指南の分野ですら持てはやされています。

 かほどのプラスイメージに包まれた武士ですが、その実態は果たして如何だったのでしょうか。

 本書は、中世武士の職能性や行動パターンを分析した上で、彼らは、法と秩序を軽んじ、私的な利益のために暴力と争闘を事とするアウトローに近い存在であったとし、さらに、こうしたアウトローたちの政治的な結集を可能としたものは何かを考察します。

 筆者によれば、あの八幡太郎義家こそ、父母の血を通じ、新興軍閥たる河内源氏の政治的エネルギーと貞盛流平氏の伝統的輿望を一体化する存在なのだとか。また、頼朝の代に至っては、秀郷流藤原氏や中央の衛府武官系が伝える武のイデオロギーを手中に収めるとともに、征夷大将軍という特殊な武官職の獲得により、アウトロー的な存在であった武士を束ね、合法性を備えた半独立政権を樹立することが可能になったと論じています。

 中世武士というものに対する著者の見方は些か苛酷に過ぎるのではないかという気もしますが、武家政権の成立をめぐる政治的・社会的な状況を多角的に捉えるという意味で、興味深い内容の本だと思います。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
我々が「武士」を見る目が近世の史観に偏している、という指摘はその通りかも知れない。
しかし武士を現代の暴力団に譬えるのもまた現代の視点(しかもある意味極論)であって、
著者が論難する近世のフィルターを通した史観と五十歩百歩であり、
寧ろ武家政権が700年の永きに亘って存続した歴史的必然性についてもっと深く考察すべきであろう。

その意味で「征夷」=外敵の設定、という指摘は確かに興味深い。
頼朝の奥州成敗は論を俟たず、
下って徳川幕府の滅亡もこの文脈から捉えれば、
「夷」を征し得ない征夷大将軍の歴史からの退場は必然であったということになる。
しかし700年の間、間断なく「外敵の設定」が武家政権を規定していたとは思われず、
その意味でこの指摘は充分に考察が尽くされているとは言えない。

何よりも著者の「武士」に対する理解不能なまでの否定的感情には心底辟易させられる。
坂東武士を素朴に称揚した彼自身の少年時代を恥じているのか。
将又京都在住中に骨の髄まで「反関東史観」にやられたか。
自身(千葉県出身)を「東夷」などと卑下するのは感心しない(それこそ京都中心史観以外の何物でもない)。
説話集『古今著聞集』の描く「文武兼備の武将義家」を退ける一方、
『奥州後三年記』に描かれた義家を無批判に受け入れるのは平衡を欠く。

近著『源氏と坂東武士』はとても良かったのに、彼の旧著には失望の連続である。
これでは「武士罪障論者」と言われても仕方のない内容である。
本書刊行から『源氏と坂東武士』まで13年。
歴史学者野口実氏の成熟にそれだけの年月が必要だった、ということであろうか。
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