本書は、イラク、サマーワにおける自衛隊の人道復興支援活動を、関係者のインタビューという形式で綴った報告である。
インタビュー対象者は、派遣された自衛官の家族、指揮官、女性隊員、ラッパ手、音楽を通して活動した自衛官のバンドメンバー、施設部隊、後方を支えた兵站業務、先遣隊、後方、教訓収集のそれぞれの担当者など、多岐にわたり、多面的に復興人道支援活動を捉えようとしている。
もちろん、インタビュー対象者が多岐にわたるために、個人個人に割かれたページは十分とは言えない感もあり、もう少し読みたいエピソードも多かったが、それでも通常ニュースなどで詳細が報道されない自衛隊の具体的な活動や、それを支えた裏方の苦労話が読めるのは非常に興味深い。
特に、用地獲得交渉の裏話、サマーワの鯉のぼり、音楽を通じた隊員達の慰労やサマーワの子供達との交流、輸送手段や実際の輸送の苦労、他国の部隊との交流などのエピソードは私が初めて目にするものも多く、興味深かった。
もちろん、日常の報道がバイアスがかかった自衛隊報道を行っているように、本書もまた当事者や関係者のインタビューという形式故にバイアスがかかっている資料である。
しかし、それでもなお、実際に現地で活動した、あるいは活動を支えた人々の証言は、イラクにおける人道復興支援を考える上で無視できない資料であることもまた確かである。この問題について関心がある人には是非一度目を通して頂きたい書籍であることは間違いない。