ヘミングウェイ作品の中でもこの「武器よさらば」は群を抜いて素晴らしい出来だと私は思います。それは戦争(第一次世界大戦)を実際に戦った一人の兵士が後に作家となって書いたことで「個人的な視点から見る戦争」を表現できたのではないかと思います。
第一次世界大戦中のイタリアを舞台に一人の兵士と看護婦の物語を描いていて、主人公の兵士は戦争で大した活躍をするわけではないし戦地を脱走する。つまり、勲章を手にするか、名誉の戦死か、というよくある二択を完全に排除している点は興味深いと思われます。また、その二択のせいで見えにくくなっている「個人の人生」をしっかりと描いています。
結末を含めて戦争と男と女の関係をリアルに描いているので、中学か高校の国語か歴史の教科書に載せるべきだと思うが、戦争を「(個人の意思を捨てた)国の一大事」と捉える教科書には不向きでもある。だからこそ戦争をなくしたいなら世界中の人々がこの作品を読むべきだと思う。
作中のいくつかあるターニングポイントで食事や酒やバーテンダーが出てきますが、その三つは共通して「生きる物を平等に助ける」役目を果たします。その点にも注目していただければより面白いのではないでしょうか。