これは中華風ファンタジーには非ずして、世にも珍しい和製武侠小説の登場です。
キャラクターも面白い、筋立ても面白い。何より最後のほうの展開で起きる史実とのリンクで。あー! そうか! 普通はそっちじゃないのにそっちできたか! と思うよう、非常に面白かったのですが。なにがなし、若干惜しい感じが…… と言う気がしておりました。
敵役のキャラクター造詣が非常に秀逸なのですが、そのぶん、主人公側が割を食ってしまったと言うか。
こういう小説で主人公達が多かれ少なかれ持っている片意地のようなもの。行動が感情に訴えかける力が、主人公達にはどうにも弱い、と言う気がしてしまったのです。
どうしてあえてそうするのか? と言うか、なぜそこにこだわっていたのか? と言うところが、どうにもいまひとつ割り切れないところがある。かつ、そこまでしてこだわっていたはずのものが、話の途中でするっと抜けてしまったりもする。
そんなちょっとした惜しさは感じるものの、話の方向や思わせぶりな展開は続刊が楽しみになる筆の走り。続きが出たら是非また読ませていただきたいと思う和製武侠でありました。