本書は非常にマニアックだ。
単に正規表現が使えるようになりたいだけならば、Webで必要な情報は事足りるし、
わざわざこんな分厚い本を引っ張り出してくる必要は無い。
だが、平凡な「単に正規表現が書けるプログラマ」から、
「ちゃんと正規表現が書けるプログラマ」へと飛躍を遂げるのには、本書は大いに役立つ。
その中で最も恩恵を受けるのは次のような読者だろう。
・正規表現を極めたい(特に効率性について)
・仕事柄複数の言語で正規表現を扱う必要がある
・正規表現エンジンの仕組みが知りたい
・ベンチマークの実例を知りたい
これらの全ての要求に対して、本書は十二分に答えてくれる。
しかし、それらは理論的な切り口というよりもむしろ、
実際に手を動かしてみてわかるような発見的なやり方で説明される。
よって、有限オートマトンや正規言語と言った理論まで立ち入りたい向きにとっては
本書は物足りない内容であり、その場合はそちらの専門書を薦める。
あくまで実践の場に立ちたいならば、各種のテーマに対して待ち受ける泥臭い道を、
同じように泥臭く潜り抜けた著者が熱心に導いてくれるだろう。
そこには、そこはかとなく正規表現への愛情すら感じられる。
たかが正規表現、されど正規表現である。