本書は同種の書名やテーマでは扱われにくいはっきり言って全然馴染みのない観点から正義を論じる本であり、いわゆる普通の政治哲学的な正義論ではない。普通の正義論は国家や市場など制度の善悪を論じるものが多いが本書は正面からそれを論じる事はしないと言う。マクロな視点ではなく人と人との間のミクロな視点から正義を論じる、との事。
100頁という薄さなのですぐ読めるかと購入時から思っていたが、かれこれ五回は手にとってはすぐ読むのをやめを繰り返していて通読すら出来ない。特別難解という事もないはずだが平易とも言い難く、ミクロな視点とは言うが身近で馴染みやすい話とも思わない。何故他の正義論関連の書物はスラスラ読めるのに薄っぺらいこれはこんなに読めないのかと考えた時思ったのは、前者がスラスラ読めるのはそこで使われるお決まりの用語・概念・人名などがお馴染みのものになり、見るだけでそれが何か把握できるようになっているためではと思う。それに対して本書に出てくる言葉は、他の関連書では滅多に出てこない(少なくとも私は本書でしか見た事がない)見慣れない奇異な言葉・概念・思考・人名に満ちており、それが読み進める事を妨げてくる。目次から既に不正義感覚だとか共通悪だとか翻訳としての正義、記憶の党派、希望の党派といったマクロな正義論にばかり触れている身としてはなにやら聞き慣れない言葉が多く、持ち出される人名もそんなマニアックな哲学者知らないよといった人が多い。それを面白い、興味深い、勉強になると思える人ならいいが、要注意であるとも言っておきたい。
なんら内容に踏み込んでいないアホなレビューになったが本音と実話なので許して頂きたい。これは明らかに読者である私の力量や根気の不足によるものだとは思うがまぁこういう事もありうるので、政治哲学的なマクロな普通の正義論に興味を持ってる人が詳しい内容を知らずに書名から飛びついてきても求めてるものとは違ったりと痛い目を見る可能性もありますよ、という程度の話として受け取ってもらいたい。
今思えば帯にある「新しい正義のかたち」だとか「思考のフロンティア」というシリーズ名から見ても本書の内容が見慣れない、今までにない奇異な形をしているのは当然であった。