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正義のアイデア
 
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正義のアイデア [単行本]

アマルティア セン , 池本 幸生
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 3,990 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

経済の分配・公正と貧困・飢餓の研究でノーベル経済学賞を受けたセンが、どうすれば、正義を促進し、不正義をおさえるかという問いを徹底的に追究する。ロールズの正義論を踏まえ、正義の理論を発展させたセンの集大成。

内容(「BOOK」データベースより)

ノーベル経済学賞受賞アマルティア・センの集大成。真実を隠す政府、真実を報道しないマスメディア、機能しない民主主義は危機を招く。正義とは何かを問うような机上の空論ではなく、一歩でも正義に近づくための「正義のアイデア」を日本は必要としている。

登録情報

  • 単行本: 664ページ
  • 出版社: 明石書店 (2011/12/1)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4750334944
  • ISBN-13: 978-4750334943
  • 発売日: 2011/12/1
  • 商品パッケージの寸法: 20 x 13.8 x 4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 91,366位 (本のベストセラーを見る)
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最も参考になったカスタマーレビュー
22 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 実践的に正義を考えるために 2012/1/2
By θ トップ1000レビュアー
ロールズ以降、正義の議論は「普遍的で絶対的な正義」を何らかの理論で演繹的に導き出す、というタイプの手法が多い。
しかし、センはそうした手法に異議を唱える。

センのアプローチは、「具体的実践において不正義をなくしていく」ものであり、「具体的な問題に解を与える」ことが指向されている。
そのため、基準の複数性や、ときには「解が出ないこと」に対しても許容する姿勢をとっている。
彼は抽象的な正義の導出よりも、実際の人々の間で対話がなされ、正義が論じられていくことの方を重んじる。
彼が民主主義を論じていくのもそのためだ。

個別個別には、彼の議論に同意しない点もいろいろある。
例えば、社会的選択理論は彼が前半でもちあげていたほどにはうまく機能しているように見えない(どう機能するかがあまり具体的に説明されていない)し、ケイパビリティをことさらに持ち出すのも正義の基準の一つにすぎないのに偏り過ぎの気もする。
またかなり具体的だが、5〜6章で擁護されているアダム・スミスの「内なる公平な観察者(impartial spectator)」は「実際の人々がどう正義を判断するか」の説明のために与えられたものなので、それを「正義は何か」を考える際に用いるのはずれている気がする。

とはいえ、彼はかなりきちんと議論を組み立ててくれているので、立場の賛否はあれど知的刺激は多いし、いろいろと得るものはあるであろう。
おススメの一冊。
このレビューは参考になりましたか?
16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
本書は、ノーベル賞経済学者であるセンによる「正義とは何か」という問いへの多様なアプロ−チによる考察である。

抽象的な議論が続き、読みこなすには一筋縄でいかないが、2011年の震災を重ね合わせると、理解が深まるような気がする。

印象深い記述がいくつもある。
「ある災難が不正義であるのはそれを予防することができたときであり特に予防的行為を行う立場にいた人がそうしなかった場合である。」 「我々は、我々の中に存在する怪物をはっきりと見つめそれを檻に閉じこめ飼い慣らす方法と手段を考える必要がある。」
「アダム・スミスの道徳感情論で示された「公平な観察者」は正義の客観的な考え方の重要な方法である。」「この観察は立場によって変化する。」「何が人にとって合理的な行動かという問いと、人が実際にどう行動するかという問いに対して同じ答えを求めることができるだろうか。」「他者の願望や目標に配意することを、合理性に反すると見なす必要はない。」「ほぼすべての道徳的決定と結論において理性と感情はともに作用している。」

かつてインドを支配したムガールの皇帝の宗教的寛容さやスペインを支配していたイスラムの寛容さをもとめて抑圧的なキリスト社会から移り住んだユダヤ教徒、民主主義のグローバルな起源についても、非西洋社会での歴史を持っているとするなど必ずしも西欧的な見方とは一線を画す見方が新鮮である。
一方で、「アメリカ社会の成功は特定の組織が持つ力や潜在的な独占力を抑制しバランスさせる多数の制度の力の働きに深く依存しているとする。」
そして、「世界中で公共的推論を促進するために考えなければならない中心的課題の一つは、自由で独立した報道にたいする支持である。マスメディアは民主主義のためだけでなく正義一般を追求するためにも重要である。討議のない正義は監禁されたアイデアである。」
とするなど、マスメディアの役割に大きな期待を寄せる。

今回の震災にあたり、政府の情報隠蔽や原発再稼働問題、震災がれきの受け入れに反対する各地の対応などなど改めて正義とは何かを深く考えさせられる機会を多く感じる。
著者は、多様な意見を出し合い、議論をして妥協点を探る民主主義こそ、正義への近道であるとする。
ここで大切なのは、スミスのいう客観的な視点である。

「正義とは何か」考える絶好の機会を与えてくれる本である。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 開発論を発展させた正義論 2011/12/30
By miyata
人の多様な状況から、理想論で一致するのは難しい。正義論は、そのような理想を論じるのではなく、現実にある見過ごせない不正義(人間としての尊厳が確保されていないような生活など)の除去等を目指すべきであること、ムラ社会の考え方(parochial)でなく、他の世界の人たちからも広く学び、また、他の世界の人たちのことも考えること、制度があればそれで十分なのではなく、それが活用されていること、また、制度で捉えられていない規範を含めて考えるべきであること等々、実際にある見過ごせない不正義をなくすことを目指した正義論を包括的に展開しています。
これは、1970年代初めにbasic human needsに注目した時以来の開発論の流れにあり、Development as Freedomにまとめられている彼の開発論の延長上にあります。それは、basic human needsが満たされていないという重大な不正義の解決への視点、また、capabilities to lead the kind of life [that] the person has reason to valueという彼の開発論の基礎にある、人はそれぞれ事情が異なるのだから、それぞれの人にとって価値あるものも異なるという認識が織り込まれている正義論であるということです。一人一人の中に多様なアイデンティティーがあり、そのうちの宗教、民族といったった一つのアイデンティティーで人を決めつけてしまうのは重大な誤りであることを指摘したIdentity and Violenceの議論も織り込まれています。
Development as Freedomの中の「正義」の章はわかりにくかったのですが、本書を読むと、その章のポイントもよく理解できます。
このようにして、開発論の者も、正論の者も是非読むべき重要な書籍と考えます。
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