ただ『三國志演義』が好きだという人よりも、正史『三國志』の研究や、『三國志演義』研究において正史『三國志』を使用する場合に、サブテキストとして便利な本です。趣味や自己満足、ある種のステータスのために携える本としては多少値が張りますし、あまり有用とも思えませんが、研究用としてはかなり有用で、非常にコストパフォーマンスの高い本です。
テキストには中華書局刊行の標點本を用い、句読や段落もそれに準拠しており、陳寿の本文と裴松之の注との区別も明確です。今鷹真氏と井波律子氏、小南一郎氏とが担当された訳注も、全体的に原文と照らしてかなり忠実な訳をされている印象を受けます。さらに、第八巻には書中の官職や裴松之の引いた引用書についての説明、人名索引などが付されています。特に人名索引は特定の人物についての記述が頁単位で知り得るため、作業時間の大幅な短縮が図れます。