敗戦後、皇祖神天照大御神は歴史教科書から抹消され、かわりに邪馬台国女王卑弥呼が登場しました。本巻所載の烏丸鮮卑東夷伝(通称「魏志倭人伝」)をひもとくと、帯方郡の東南の大海にすむ倭人の諸国、その位置関係、風俗、産物、邪馬台国女王卑弥呼の朝貢、金印紫綬の仮授などの記載があります。僻遠の倭人に関する情報の正確性については保証のかぎりではありませんが、わが国先史時代の貴重な史料として一読の価値があります。
むかし読んだ三国志は諸葛亮の病歿で終りでしたから、蜀を滅ぼした魏の将軍トウガイや鍾会のことは知りませんでした。本巻には両将軍の伝のほか、関羽の右腕治療で有名な華佗の伝(方技伝)が載っています。切開手術に麻沸散(麻酔薬?)を使ったそうですが、患者のなかに関羽の名前はない。蜀書の関羽伝には毒矢で右肘を射られ、諸将を招いた宴会中に手術を受けた話はありますが、医者は残念ながら華佗ではない。名医華佗に関羽の手術をさせたのは「演義」の創作だったことがわかります。