三国志の正史では、ある人物に関する伝の中ではその人によくない事例は書かないようにしているので、
正確なことを知るためには他の人の伝まで読む必要があります。
また、伝によって記述内容が異なる事例もあり、
もしある人物が実際はどんな人物だったのか気になったとしても、
それを正史で探すのには、かなりの苦労と暇を要しました。
この本では、正史やその他の文献などの各所にちりばめられた人物の断片を抜き出し、
それを著者自身が比較して、独自の視点で結論を出しています。
魏、呉、蜀、その他と人物に分類し、50音順で並べています。
年表、当時の官制(なかなかわかりにくい)、異民族についても書かれています。
調べるのにはかなりいい構成です。
学術的にはっきりしないことに対して、著者が独自の推論をたてていることには、私は共感を感じました。
(確かに著者の主観の表現もありますが)
それがこの本のオリジナリティーであり、また、ただの分析本、評論本との違いでしょう。そのことにより、この本は読みやすくなったといえます。
ただ惜しむらくは、曹操、劉備、諸葛亮…などの当代の英雄の記述が、他の人物に対して少ないように思えます。
もっとも彼らの事績はあまりに多すぎて全部は記述できそうもないですが。
出師の表なども断片的にしか載せてないので、メジャーな武将についてもっと知りたい方は、やはり正史を読むしかないでしょう。