毎年大量にリリースされる新作映画の中に、「もう一度」観たいと心から思える作品が、一体何本あるだろうか?
その点、この『歓待』という映画は、2011年春の劇場上映を観て以来、「もう一度」を通り越して「繰り返し」観たいとさえ思えた、稀有な作品であった。
この作品の特長は、まずは脚本の際立った巧みさ。開始たった数分間の、それも少しも説明臭くない極めて自然な会話の中で、「年の離れた再婚夫婦・夫の連れ子・夫の出戻りの妹」という映像だけなら必ず勘違いしてしまいそうな複雑な家族関係を、過不足なく見事に伝えきっている点にも、それは表れている。
そうした特長は、作品全体のストーリー構成にも当てはまる。贅肉ともいえるような無駄なシーン・無駄なセリフを徹底的に排除しながら、必要最低限の情報量で観る者を豊かな作品世界の中に引きずり込んでいく手法は、映画のみならず、あらゆる表現ジャンルに属する人間が参考にすべき水準のものだと思う。
「削ぎ落としながらも豊かであれ」というような難易度の高い脚本を、映像として表現するために、役者陣の卓抜した演技力が不可欠であることはいうまでもない。監督の脚本・演出力と、役者陣の演技力、それらの絶妙なバランスの上にこの秀作は成り立っている。
監督のインタビューにもあるように、この映画が「移民」や「外国人排斥」の問題をテーマ(の出発点)としていることは間違いないだろう。ややもすると小難しい社会派作品に転がっていってしまいそうなテーマから、ここまで「笑えて」しかも「考えさせられる」、個性とユーモアあふれる作品を産み出したこと自体、本当に見事としかいいようがない。
まさに、DVDとして「繰り返し」観るに足る作品である。