歌麿の生涯を、絵師としての成長を軸に、新書版にしては丹念に辿っている。浮世絵の最大の美人画絵師であることは知っていても狂歌、黄表紙に挿絵をかくことから出発し、役者絵も書いていたのかと初めて知る人も多いはず。
副題にある「抵抗」の件は、以前に部分的に読んだことあったが、この本の方が詳細に説明されているので、興味深く読んだ。幕府の風紀取締りに、あの手この手ですり抜け、「抵抗する」歌麿。微笑ましいように思えたが、最後には、思わぬ理由で捕まり手鎖の刑で心身を弱らせる。
著者は、栃木の旧家で発見された肉筆画「女達磨図」の発見に立ち会った一人である。この発見の経緯はわくわくしながら読めた。この「女達磨図」は口絵にある。
ただ読んでいて、若干の「抵抗」を感じるのは、著者の歌麿への思い入れが強いせいか、部分的に想像力を働かせすぎているように感じてしまうことか。