歌舞伎座の取締役・相談役を務めた遠藤為春氏の役者評で、昭和・平成を代表する劇評家である戸板康二氏との座談がメインです。他に、久保田万太郎・円地文子・池田弥三郎を交えた座談、戸板氏とのインタビュー(座談の内容のダイジェスト版といっていいでしょう)。歌舞伎座改装に伴う閉館を機に出版されたものです。
座談の内容から九代目団十郎と五代目菊五郎の凄さが十分感じられますが、最近は「団菊じじい」や「菊吉じじい」というという言葉はあまり見なくなりましたが、これほど、両者を崇拝されている方(もちろん駄目なものにはきちんと評価をしています)が昭和30年代まではいらしたんですね。
市川新蔵という役者(九代目の弟子)の凄さを初めて知りましたし、七代目幸四郎が九代目の芸をきちんと伝承していないことへの辛辣な批判(今の歌舞伎十八番は六代目菊五郎から伝わったものを除き全く別物ということになる)、六代目菊五郎への高い評価が印象的でした。団菊左の左団次への評価も低く、団菊以降で遠藤氏が評価しているのは、五代目歌右衛門、六代目菊五郎、あとは菊五郎と組んだ時の吉右衛門への部分的なものだけになりますね。
とにかく面白いです。一読ください。編者の犬丸氏には感謝申し上げたい。