内田康夫氏の小説で毎回登場する浅見光彦ルポライターの活躍を物語る作品として、このぐらいの分量が丁度程良い作品に感じます。
これ以上長くなって密度が濃くなると、警察(刑事)と浅見光彦の活躍にバランスがとれない内容となってしまうことが多く、反って飽き飽きしてしまいそうになります。
フルートを握ったまま発見された女性の死体に最初からミステリーなことに気づかされていますが、なかなか犯人を突き止めるまでには至らない過程が面白いです。私も読んでいて最後まで分かりませんでした。
津山にあった音楽大学をモデルにしたということで、そこの大学の問題点を著者ははからずも描きながら作品に投影していく腕の見せ所は流石ですね。
津山、倉敷、岡山と作品の中で描かれる情景も良く出来ているなと感心しました。
最終章での浅見光彦と青山警部補とのやりとりには腹を抱えて笑い転げました。
只一点、笹倉県会議員と若き妻・克子との馴れ初めをもう少し詳しく記して欲しかったことと、克子の心情的なものを作品の中に描いて貰えたらなお良かったのではないでしょうか。