おすすめは「おだやかな時代」、「Maybe」、「永久欠番」、「南三条」、「炎と水」かと思います。この内のどれもがドラマチックな佳曲ぞろいです。
「南三条」は何となく「路地裏の少年」っぽいアメリカンロック風の曲ですが、歌われているのは、かつて恋人を奪っていった恋敵とのつかの間の再会。歌詞の一部に恋敵の台詞そのものが入っていて、まるで一幕の芝居の様です。
「おだやかな時代」は男性の視点から、「Maybe」は女性の視点から、傷つく事の多い奇妙な時代を、それでも強く生きていこうと歌った曲のように思われます。「おだやかな時代」はコーラスの部分が何となくゴスペル風です。
「永久欠番」は時が過ぎ、人々の多くが忘れ去っても、それでも忘れがたい存在というものが確実にある事を歌った曲。
「炎と水」は男女を炎と氷にたとえ、相反する性質を持った存在でありながらも、それでも求め合わずにはいられないものと歌った曲です。
「トーキョー迷子」あたりは余りにも歌謡曲的な感じもしますが、全体的に音の隙間を大きくして、スタジオの残響音すらも楽器として取り込んだような瀬尾一三の編曲も見事です。
昔のヒット曲しか知らない人が聴くと、ちょっとびっくりするかもしれないけど、夜会で歌われたような曲のスタジオレコーディング版が聴きたいという方には非常におすすめできるアルバムかと思われます。