代表曲涙そうそうもそうだが、夏川りみは多くのカヴァー曲を歌ってきた人だ。その彼女が、ファンからのリクエストを参考にしつつ、「歌さがし」として自分の相性のよい曲を探った努力が見事に結実した近年の日本のカヴァー・アルバムの逸品だと私は評価する。
古くはアイラ・ガーシュインの戦前の外国曲から新しくはコブクロまで、選曲の幅の広さだけでなく、M6のようななじみの薄い曲も採り上げており、決してリクエストの多かった順に選んだ企画ものではなく、自分の歌いたい曲を選ぶ姿勢を貫いている。
個々の曲のアレンジも素晴しく、名曲に新鮮な命が吹き込まれている。例えばファンキーなサウンドをバックにM10を歌ったり、M12でバス・クラリネットを使ったり。そして自分の原点を確認するように、八重山民謡で締める。
カヴァーを活動の大きな柱とする夏川りみの創作姿勢・決意表明が鮮明に打ち出された傑作だ。