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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
ディストピア小説,
By
レビュー対象商品: 歌うクジラ 上 (単行本)
iPhoneアプリで本作を読んだ。店頭でハードブックも開いてみたが当然のことだが内容は一緒だった。 違うのは章毎にアートワークが表示されるのと、一部のシーンで効果音に近い音楽が流れることだけだ。 上層、中層、下層に区分けされた理想社会をアキラは旅する。 通常であれば一生を決められた層で生きるところを、旅で社会を横断する。 層毎の違いを方言のような言語で表しているのはわかりやすい。 どの層も我々の世界観からすれば不幸にしか見えない。 既存のディストピア小説と異なるのは、指導層とそれ以外に分かれて指導層だけが幸福、という構造ではないことだ。 章毎に新たな設定が延々と提示されるやり方は「家畜人ヤプー」を思わせるが、主人公に目的を持たせ行動させる点で本作のほうが一貫したまとまりがある。 社会を強調しているのと特殊な環境のため、登場人物たちの心情は理解しがたい。あと長い。 作者の「コインロッカー・ベイビーズ」の薬島みたいな設定が好きか、ディストピア小説が好きならおすすめ。
29 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
歌うクジラ,
By ばるでらまん (埼玉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 歌うクジラ 上 (単行本)
この小説を読み終えた後、「何故自分は小説を読む必要があるのか」ということと、「小説を読まなくてもいいように暮らしていくためには どうすればいいのだろう」というようなことを考えました。 村上龍さんの書く小説は自分にとってとても異質で、そういうものを 必要としているからかもしれないと考え、一方で、こんな凄い小説を 読まずに過ごせるならそれはそれで越した事はないのではないかとも 考えたのでした。 矛盾していますが、そういうことを考えたのはこの小説が初めてで、 とても新鮮でした。
42 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
生きる上で意味を持つのは,他人との出会いだけだ。そして移動しなければ出会いはない。移動がすべてを生み出すのだ。,
By
レビュー対象商品: 歌うクジラ 上 (単行本)
人類がついに不老不死のSW遺伝子(Singing Whale)を発見した22世紀の世界。SW遺伝子は限られた一部の選ばれた人間に応用され,その反作用として犯罪者には急激に老化を促進させる方法が取られた。 文化経済高率化運動により,食事や笑顔や敬語が害悪とされ,人々の徹底的な住み分けがなされた日本。 もっとも最下位の層の犯罪者が住む九州北西部の新出島で暮らす15歳の少年アキラは,死の直前の父のため,SW遺伝子の秘密が入ったマイクロチップを,ある人物に届けるため新出島から出ることを決断する・・・・。 この設定だけでもワクワクしてしまう村上龍の新作は,i-Padで先行発売され話題になったが,i-Padを持っていない私は,本が出版されるのを今か今かと楽しみに待っていた。 その圧倒的な戦闘の描写力は,「五分後の世界」や「半島を出よ」同様すさまじく,目を覆いたくなるような残虐なシーン,嫌悪感を感じる描写もあるが,100年後の日本が舞台であり,リアリティーある造形物の描写やその想像力には驚かされる。 そして,なによりも個性ある登場人物が多く登場するところが,この作品の魅力だ。 15歳の少年アキラと行動を共にするサブロウさんは,クチチュと呼ばれる突然変種の人間だ。耳の後ろに小さな穴があり,触ると死に至るような猛毒の液がそこからにじみ出ている。 アンという女性は,反乱移民メンバーの子孫で,グループのメンバーともに助詞をむちゃくちゃにした日本語をしゃべる。敬語が禁止されて長い日本において,敬語が使えるアキラは貴重な存在としてメンバーに受け入れられる。 飛行自動車の運転手ネギダールは,猿と中国人のDNAを組み合わせて生まれた女性だ。 少年アキラは,いろいろな人物と出会い,別れ移動を続ける。 15歳という年齢は,移動を開始するのにもっとも適した年齢なのかもしれない。(そういえば,村上春樹の傑作「海辺のカフカ」でも15歳の少年が移動することによって物語が始まりましたね)
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