東野裕先生の作品を読むのは、この作品が初めてです。絵の印象はすっきりとしていて迷い気のない線が映える、綺麗な絵柄だと思います。表情の描き分けもかなり巧いです。ただ突出しているであるとか、特別に秀でているという感じはしません。並とはいいませんが、最近こういう絵を描く作家さんは多くいらっしゃるので、他の作家さんの影に隠れてしまうのではないかという気もします。
内容は、家族からの疎外感、サスペンス、ミステリー、イジメ、裏切り、挙げ句の果てには獣に触手と、私の好きな要素がいろいろと含まれていて、設定だけでも結構おなかいっぱいでした。特に触手モノって久々に読んだのですが、やっぱりエロいですね。たとえどんなにつまらないお話でも、触手さえあればそれなりに成り立つのではないかと思えてしまうから不思議です。何故だろう。一対一の人間どうしでは絶対に出来ない動かし方だからかな。
話自体としては、やはり謎やら設定やらが多い中一冊にまとめているので、展開の早さについていけないです。二人か三人くらい人が死んだけど、なんで死んだのか一度読んだだけではよくわからなかったです。二度読んでも「ん?」となります。しかし死んでいる様子はかなりグロテスクですが……。
絵はとても巧いですが、設定の割に内容が薄い・浅いという感じは否めません。折角面白い設定なのだから、無理とはいえもう少し巻数を出して欲しかったです。もっと細部まで丁寧に描けばもーっと素敵な一作になったはず。