派遣会社を経営する美貌の女性社長と、一流企業の取締役の不倫。よくある都会小説の設定だ。しかし出張ホストのテルがからんで、トレンディーな面白さが出てくる。更に面白半分のネカマに翻弄される出会い系サイトが、勘違いからのストーキングを引き起こす。
この辺の心理劇がぐんぐん面白い。事件をはさんで、後始末のようなエピソードで、徐々に小説が収束するかに見えた。終盤の種明かしは意外な方向に進んで更に面白い。現代の格差(意識)社会をうまく使って、そんなこともあるかもしれないと思わせる。
ラストで小さな真実が闇に葬られていくさまは、物語に深みを与えている。サスペンスあり、トリックあり、たくみな心理描写ありのエンタテイメントだ。