その知名度や存在感に比べて実態としてどのような統治体であるのかがなかなか見えにくい欧州連合。それを10章に分けて解説していく。統治機構や法体系についての解説はもちろん、運用の論理や戦略、さらには域内で争われている種々の論点にまで言及していて、入門書として充分な内容が盛り込まれていると思う。
ただ、この本の書き方は、大学の教養課程もしくは学部専門科目の教科書に相応しいものであって、一般書としてはやや不親切でとっつきにくい部分がある。「教科書に相応しい」というのは、この本をテキストにして大学レベルの講義を受ければ、よりよく本書の言わんとすることが理解できるだろうな、という意味である。要するに、読めばスラスラと理解できるような本ではない、という前提で読んだほうがいいような気がするのだ。
もちろん、EU理解の手引きとして手許に置いておくには、手頃でいい本である。