日本を代表する少年向け教養小説です。 私は確か中二の頃に全編読みましたが、そのいくつかの場面は今でもはっきりと脳裏に刻まれています。 有名なのはやはり第一部で、過去に何度か映画化されています。 母親との葛藤と別れが描かれていた第一部は、確かに映像化しやすい題材ではありますが、物語が本当に佳境に入るのは次郎が中学生になる第二部あたりからだと私には思えます。 思春期の迷い、恐れ、憧れ、正義感、向上心、あらゆる要素がここには詰まっています。 そして日本が軍国主義に飲み込まれていった時代を描いたこの第四部がこの作品のクライマックスといえるのではないでしょうか。 今でも一気に読み通せる迫力と緊張感があふれています。
その頃の自分が次郎と年齢が近かったということもあったからなのでしょうが、彼の心境が手に取るように共感できるし、なにより戦前の旧制中学生徒いうのは大人びていて理想主義的で偉いもんだなあーと、感心した記憶があります。 過去において確実に存在していたけれど、今では失われてしまった若者文化の一つがここにはくっきりと刻まれています。 若い人にはもちろんですが、すでに大人になっている人にもかなりお薦めできる永遠のロングセラーだと思います。