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次郎物語〈上〉 (新潮文庫)
 
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次郎物語〈上〉 (新潮文庫) [文庫]

下村 湖人
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

感じやすい少年、次郎の魂の成長を描く名作乳母のお浜にかわいがられて育った次郎は実家に戻っても家族になじめず、毎週土曜日、町から帰ってくる父を待ちわびるのだった…….多感な次郎の魂の成長を描く --このテキストは、 新書 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

次郎は孤独な子だった。生後間もなく里子に出されたため、生家に戻ってからも、母、祖母に疎まれ、兄や弟となじむことができなかった。ひねくれ、反抗的になりがちな次郎を支えてくれるのは父の俊亮だけだった。が、一家は没落。さらに、母の死、父の再婚、中学受験の失敗…と、次郎の周囲には、大きな変化が待ちかまえていた。自伝的要素を交えて一人の少年の生き方を描く。

登録情報

  • 文庫: 584ページ
  • 出版社: 新潮社 (1987/06)
  • ISBN-10: 4101105073
  • ISBN-13: 978-4101105079
  • 発売日: 1987/06
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 43,985位 (本のベストセラーを見る)
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28 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
次郎物語(上)には、第一部と第二部が掲載されている。
第一部は、幼い頃に里子に出された次郎が、実家に連れ戻され、家族間の葛藤の中で成長していくところから、一家の没落、母の死までが描かれている。第二部は、母の死後、父の再婚から、中学に入学し朝倉先生に出会い、「愛されようとすること」から「他者を愛することへ」自らの生き方を転換させていこうと次郎が決意するまでが描かれている。
この手の作品(少年の成長を描いた作品)は数多くあるが、次郎物語はその中でも群を抜いて優れた作品だと思う。それは、少年の心理描写の緻密さと、物語としての不自然ではない面白さが群を抜いているからだ。物語は、たくさんの小さい出来事から構成されているが、ひとつひとつの出来事の描写が味わい深く、何度でも読み返したくなる。愛されないことからくる苛立ちからつい犯してしまう乱暴や失敗、大人に誉めてもらいたいがためのスタンドプレーのような行動、そしてその後にくるほろ苦い気持ち・・・子どもの頃なら誰でも覚えがあるのではないだろうか。この作品を読むと、少年の成長過程に、「大人」がいかに重要であるかを思い知らされる。
下村湖人は、この少年心理を誰よりも深く理解していたに違いない。大人が読めば、子どもの頃の気持ちを切々と思い出すこと間違いなしであるし、少年少女が読めば、夢中になって読み、自らの生き方について考えることができることと思う。この次郎物語(上)は、文句なしの秀逸な日本文学である。
このレビューは参考になりましたか?
13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By くにたち蟄居日記 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 なんとなく言うのが恥ずかしい気もするが 次郎物語は僕の愛読書である。

 なんで恥ずかしいのかを自答しているが やはり ストレートなまでの素直な本だからかと思う。
 例えば 僕は 芥川龍之介という作家の著作も非常に好きだ。これは言っていて恥ずかしくない。芥川という稀代の芸術家の作品を讃することには問題がないのだと思う。

 その点 下村湖人という方は「芸術家」とは言い難いものがある。むしろ「教育者」の資質がきわめて強いと思うのだ。

 僕は芥川の作品を読んで 何かを学ぶということは出来ない。彼の著作が好きだとしたら それは 圧倒的な「美」がそこにあるからだと思っている。実際 芥川の作品のいくつかは まるで工芸品のような美しさを持っている。壊れやすいガラス細工のような。
 それと比較すると「次郎物語」には かような美は見いだせない。但し 行間から聞こえてくる著者の「教え」には 中年になった今でも学ぶ点が多い。

 いい年をして「勉強」していることが恥ずかしいのだろうか?
 
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By oyster
形式:文庫
 主人公本田次郎は1915(大正4)年に生まれた。彼の青春は5・15事件とか2・26事件という血なまぐさい出来事と重なっている。大正デモクラシーの時代に少年期を過ごしたわけであるが、その時代は奇妙に現代と似ている。彼の実母のような理屈で子育てをしようとする母親は日本中に充満しているし、彼の祖母のようにわが子を分けへだてする親は数知れない。学校の教員の大多数は小説の中の教員の多くと同様凡庸である。そして彼の父親のような、道理のためには生命の危険をも冒す親は少なく、権田原先生や朝倉先生のように立身出世より生徒の実力――上からの命令に忠実に従うのではなく、良心の自由を失わず主体的に行動できる力――を伸ばすことを重んじる教員は稀である。その現代と似た状況はいつのまにか軍人の暴力が政治を壟断することを許し、友愛塾のような自由の精神を養う場を圧殺して報国塾のような全体主義的教育を盛んにして行った。この小説の後半は、私にはまるで未来小説のように見える。
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