本書は著者自身もおっしゃっているとおり現在の世界大恐慌到来論が多数を占める中でグローバル・バブル論というまさしく異色の主張をしているという一点傑出している。
本書出版(2008.7.30)から1か月超経過した現況からすると著者の主張よりも多数派を占める世界大恐慌、世界大不況を論じる方たちに軍配が上がるといわざるを得ないだろう。
但し、私は3〜5年の長期あるいは超長期トレンドでは著者の主張が正しいと考える。
著者の主張とは要約すれば「サブプライム危機が引き金となって先進国共通の経済低迷を理由として新興工業国中心のかつてない”グローバル・バブル”が発生する」ということである。
たしかに筋道として考えればこのサブプライム危機が欧米先進国を中心とした金融システムの破綻を伴うものと考えれば、”先進国共通の経済低迷”は2〜3年、あるいはここ数年は続くと考えられる。この点を以て恐慌派もバブル派も共通の認識を持っているといえるがここからの主張が違う。著者のようなバブル派はここから不況下における各国の金利低下に着目。例えば政策金利一つとっても米国2.0%(FF金利)、日本0.5%(無担保コール翌日物)という現況にあって世界的にマネーがジャブジャブであることに変わりはない。そこで景気はサイクルであり好況のあとに不況は必ず訪れるものだから、それと株式をはじめとした資産がリンクして下落するのではなくむしろマネーの過剰流動性によって”資産インフレ”が起こる。これによって”グローバル・バブル”が本格的に発生する。
この主張は私には的を射たもののように捉えられる。
何よりも卑近な例を挙げれば割と大きめの書店の経済欄を見ると面白いのが、棚に並んでいるのは打ち合わせたかのように世界恐慌論一色である。
思えば昨年の今頃、逆に世界各国が好況に踊り威勢がいい書籍が多数を占めていた中において
たとえば松藤民輔氏の終わりのはじまりシリーズのような暴落論は異色中の異色だった。
現在、多数派は松藤氏らの主張する恐慌派である。
相場格言で引き合いに出されるが”人の行く裏に道あり、花の山”
相場は常に少数派に軍配を上げる歴史的事実を見れば、今回最終的に軍配は本書のようなグローバル・バブル派に上がるのではないだろうか
ま、賛意を示せずとも本書のような主張があるということを知っておいて損はない
その意味において少なくとも一読に値するといえるだろう