マスコミ界はこれからどうなるか?
というテーマで書かれた書籍が最近よく出ている。
この手の本は、既存マスコミをこき下しネット礼参になるか、
著者自身の出身メディアを擁護するか、
どちらかになりがち。
けれど、本作は比較的現状を冷静に分析している。
特に新聞業界の考察は、よくまとまっていると思う。
(反面、その他のメディア考察は薄い)
新聞=民主主義を支えるジャーナリズムの根幹。
この図式を、新聞業界の人はよく言うのだけれど、
本書が指摘するように、
ジャーナリズムを担うのは新聞じゃなくてもかまわない。
その取り組みも紹介されていて、興味深い。
ニューヨークタイムスのNPO化や、
グーグルのジャーナリスト養成システムなどなど。
アメリカでは新聞紙がなくなるというのは、
もう共通認識になっていて、そこから先の話に進んでいることが分かる。
さて、次に来るメディアは何なのか?
正しくは、各メディアがどう再編されていくかの考察で、
著者の仮説は、ざっくり言うと“既存マスコミ×ネット通信系の連合体”だ。
アメリカのメディア・コングロマリッド(タイム・ワーナーなど)を例に出し、
まずここを目指すべきと指摘しているのだが、
ちょっと総花的な印象。
マスコミ界の広告モデルが崩壊しつつある中で、
どう利益を出す組織となるか?次のモデルをいかに構築するか?
が問われていると思うのだが、
どことどこがくっついてリストラ、みたいな話に終始している。
『徹底したワンソース・マルチユース』というモデルも新鮮味がない。
このモデルは相当ワンソースに魅力がないと、もたないし、
最初がこけると、すべてがこけてしまうモデルでもある。
成功例として、タイタニックを例に出しているが、
巨額の制作費を拠出できるのか。
(そのための、コングロマリッド化なのだとは思うのだけれど)
バクチ的な要素を抑えて、安定収益モデルを築くか否かが分かれ道。
メディア・コングロマリッドでも、メディア・インテグレードでもいいが、
一歩間違うとお荷物事業まる抱えにもなり得る。
以上の点を踏まえて。
新聞の存在感が縮小した後、ジャーナリズムや多様な言論をいかに守るか。
という視点で読めば、本作は非常に優れたレポートだ。
ただ、次のメディア再編はどうなるか。
という視点で読めば、表層的だと感じた。
以下の書籍を読むと、さらに知見が深まるかもです。
「グーグル秘録」
「次世代マーケティングプラットフォーム」
「新世紀メディア論」
「ネット帝国主義と日本の敗北」
「電波利権」