前著、「メタルウオーズ」と内容はほぼ同じで、コンパクトにまとめられている感じです。昨年、石油がピークオイルの見通しで急騰したように、次はピークメタルが引き金となってメタル資源の急騰が起こるといっています。レアメタルは電子機器を大量に生産、輸出している日本の急所として今までかなり脚光を浴びましたが、それよりも消費量が遥かに多く産業の基盤となっているベースメタル(銅、亜鉛、鉛、アルミ、錫)がやはり重要だと指摘しています。特に埋蔵量が少なく産業に欠かせない銅が非常に重要で、ピークオイルならぬピークカッパーだと言われています。
こうしたメタル資源の逼迫に対して中国のしたたかで貪欲な獲得戦略が詳述されています。これに対して、日本のお粗末な対応が書かれていますが、石油、天然ガス、レアメタルなど同様に、ベースメタルでも日本は全く対応が遅く国としての動きが欠如しているようです。
最後の章で、日本の対応と言うか資源に対する価値観の変化が必要だと著者が指摘している点は重要だと思われます。つまり、日本は製造業で国を富ませてきているが、サプライチェーンの川下部分にのみ焦点を当てて、そこでの付加価値のみに特化しているのではないかと言う指摘です。しかし、資源枯渇が見えて来た現在、営々と川下で積み上げた付加価値が、川上つまり資源部分に吸い上げられてしまうようになってきました。
今までは資源が無いから仕方なく川下での付加価値積み上げに特化してきましたが、今後はそのやりかたはもう限界を迎えている。中国のような狡猾、貪欲な方法が良いとは思えませんが、日本も少しはそれに見習うべきだと思わせられる一冊です。新書版で読みやすく簡潔にまとめられており、メタルに対する意識を向上させるには非常に良い本だと思います。