今までの渡瀬作品と比べれば一段上をいく作品だとは思います…。
描きたかったのは同性愛だけの話ではないのでしょうけど、うーん、いまいちです。
ハードカバーの愛蔵版にするほどの内容ではなかった。
普通のコミックでいいんじゃない?
これが初めて手にする同性愛や虐待のお話であれば衝撃を受けるでしょうが、
ゲイ、バイセクシャル、トランスセクシャル、ドラッグ、レイプ、近親相姦、虐待、トラウマ等を扱った
竹宮恵子女史の『風と木の詩』や萩尾望都女史の『残酷な神が支配する』の後では
『櫻狩り』は表層部分をさらりとなぞっただけのようで薄味。
贖罪と赦しですか…突然、キリスト教の教義が出てきましたね。
キリスト教徒にとって"赦し"は全ての罪を昇華するほど絶大な効果があります。
キリスト教徒でなくとも…確かに赦し赦される行為自体に意味はありますが、
使い方が安易で、それにより蒼磨の罪の意識が軽く感じてしまう。
サスペンスも「実は〜なんです」という後付けの何とでもなるものだし、
蛇足だと感じるエピソードや悲劇が連鎖する展開に説得力がなく、
心の痛みや哀しみを助長するアイテムにしかみえなくて読む意欲が失せてしまいました。
全体的に既視感が漂う内容で、世に出払ったネタの寄せ集めのようです。
既成の殻を破り挑戦する事は素晴らしいと思いますが、二番煎じでは意味がない。
もっと深い根幹的な愛のお話かと期待していたので、肩透かしをくらいました。
色々と心情を深く追究し読まれる方には向かない作品でしょう。
私のような人もいらっしゃるかもしれないので、ご参考までに。