週刊文春1983年 国内7位
個人スーパーの経営者 滝野は、ヤクザ稼業から足を洗い、妻帯して、平凡だが成功した日々をおくっていた。が、店内で暴れるチンピラを叩きのめしたことをきっかけに、滝野は、再び暴力の世界に戻っていくことになる。 ・・・
ストーリーとしては、ありがちだし、結末も見えてしまう。ので、本書の魅力は、なんといっても登場人物たちの生きざま。滝野を閉じ込める日常を”檻”と表現しているが、それを抜け出そうとする行動が、読み手(男性読者ということになるけど)の暗い願望を満足させるのだと思う。滝野のダチ高安、妻幸江、愛人の暁美、探偵平川、犯罪者となった滝野を追い詰めていく、刑事<老犬>高樹と村沢。それぞれの生きざまを通じて彼ら(彼女ら)が魅力的に描かれている。
滝野がコーヒーを冷まして飲むシーン、高樹がライターをカチカチやるシーンが随所にあるのだが、こういった何気ない描写が、ストーリーを展開する上で、象徴的な役割を果たしていたりして。味わい深いなぁ。
ただ、かっこ良すぎるセリフが多少鼻につくかも。