訳者がすごいと思います。平明でわかりやすく、きちんと意味がわかって日本語にされているなあと思い、カバーの折り返しを見たらやっぱり軍事関係の知識が大変豊富で過去に難しい本をたくさん訳されている方でした。扇情的になりがちな世界初!や大記録!みたいな文体にしようと思えばいくらでもできそうなのに、とても綺麗で落ち着いた文章で、読んでいて気持ちよかったです。
自分なりの発見箇所は、あのラフマニノフがヘリコプターの開発のため1900年代に5000ドルも出資していたりとか(会社の帳簿には副社長と書かれていたそうです)、ヘリコプターの前身であるオートジャイロの開発競争とか、驚くような話ばかりでとても楽しんで読みました。特に操縦の達人の物凄さ。凄い人はどのくらい凄いかってことを海難救助のまるで映画みたいな描写で知りました。
著者はこの本を書くためにヘリコプターの操縦訓練を実際に受けているそうです。ヘリコプターの運転免許は運転技術をさび付かせないために実習を常に伴うので、試験を受けるまでと、受けてから免許を維持することにとてもお金がかかるとか。ヘリコプターに惚れ込んでいる人を「ヘリコプトリアン」と言うそうですが、昔、知り合いのレストラン経営者がヘリ好きがこうじてレストランの駐車場をつぶしてヘリポートを造り、ときどき空を飛んでいたのを思い出します。近所ではただの変わり者って思われてましたが、今思うとそのヘリコプトリアン氏にもっと話を聞いておけば良かったなあとちょっと後悔しています。夢を実現させた方ですから、きっとたくさんの素敵な話をしてくれただろうからです。
巻末の詳細な参考文献や付録の関連年表などがとても面白く、役に立ちます。
ほんとに面白くて何度も再読してしまいました。値段もこの手の本の中では目立って安価ですし、プレゼントとかにもいいかもしれません。装丁もかっこよくてずっと手元に置きたい良書です。