冒頭のデビルガンダムの地球逃亡、未来の地球の状況説明で大体、近未来SFものとしても掴みはOK。
各国が地球の主導権をかけて毎年戦う「ガンダムファイト」。
この物語はその「ガンダムファイト」を背景に、主人公ドモン・カッシュが幼馴染みのレインと共に、ガンダムファイター(国の代表者)として世界各地で戦いながら、兄キョウジを探す放浪の旅を描き出します。
第一話では、ドモンが血の気が多く、決して卑怯なことはしない直情型のキャラクターであることを示すため、敵キャラ、ミケロ・チャリオットが登場します。
しかし、それ以外の敵(とファイト)は一場面だけで省略。
後に強い絆で結ばれるチボデー(米)、サイサイシー(中国)、ジョルジュ(仏)、アルゴ(露)の仲間4人と戦いの中で出会う様子、前大会チャンピオンで、ドモンの師匠である東方不敗との思わぬ再会、ほんの短い一時で別れが訪れるシャッフル同盟との心の交流、謎の覆面ファイター、シュバルツ・ブルーダー(独)、と一年間のアニメ版を見事にエッセンスだけ凝縮しています。
巻のクライマックスでは、いよいよドモンの目の前にデビルガンダムとキョウジが出現し、読者をひきつけるところで上手く終わっています。
個人的感想を先に述べさせてもらえば、「この男を知っているか?」「そうか、知らないなら用はない!」とシャイニングガンダムの顔がパカッと開いて本気モードになるところに、当時の熱狂を思い出し、身ぶるいしました。
しかし、一方で作品の中でのガンダムは後番組「ガンダムW」と並んでツールでしかありません。
前者はHOTで後者はCOOLと、まるで作風が違いますが、その点では共通しています。
復讐だけが目的だったドモンは旅の中で、仲間を得、真理をつかんで師匠を超え、本当に大切なものが何だったのか悟り、結果的に地球の未来の為に戦うことになるのです。
また、ドモンとキョウジの関係は「NARUTO」のサスケとイタチの関係にも参考にされたのではないかとも思えます(「NARUTO」ファンからは総スカン喰らうでしょうがそういう人ほど読んでみてください)。
全体を通してみると実は大きなテーマは今日言われる“エコ”であり、荒廃した未来の地球、さらにその地球をリングとして戦うことで次の覇権を決める状況が主人公の師匠が悪の側についた伏線であったりします。
2巻、最終巻3巻ではそんな師匠とドモンの戦い、最終決着が描かれ、真の敵が誰であったのか判明します。
単行本で別に通常より分厚くもないのになかなか1巻から中身が濃い漫画です(アニメ版の総集編ではなく圧縮版だから当然ですが)
ガンダムと毛嫌いせず読んでみるのも一興かと思います。