何と言うか、『ガンダムX』をレビューしていく上で一番表現に困るのが、ここに収録されている「エスタルド編」だったりする…。以下、うまくまとめられないと思うが一応。
まず、面白くはない。せっかくダブルエックスが登場して盛り上がるかと思えば、むしろ逆。ツインサテライトキャノンこそ、破壊力が凄すぎて(イデオンガンかよ、と思うくらいにw)「武器」として作劇上の「カタルシス」に結びつかない装備故に。ダブルエックス自体はカッコいいので、描き方の問題かな、と。
あと、一話ごとに新しい敵キャラと新MSがダブルエックスに挑戦してくる展開も成功しているとは言えない。コンセプトはいいのだ、「全身真っ白なMS」とか「二重人格のパイロット」とか。それらをうまく料理してたらかなり魅力的なプロットになりうる、というのは「ユニコーンガンダム」や『00』のアレルヤ/ハレルヤを観れば分かる。でもデザインやキャラの造形がやっつけだから、ジャンプのマンガや昔の特撮みたいなお子様ノリに終始してしまっているのが残念…。ここだけ『Gガンダム』ぽい、とか言うと『Gガン』のファンに怒られそうですね。
あとは、東アジアの小国に新連邦軍が介入してきて、たまたまそこに通りかかったフリーデンが用心棒的になって、でも隣国との間の民族対立の再燃によって…みたいな。思わず「アザディスタン?」とか「このウィリス王子が女だったら、まんまマリナ様だよなあ」とか思ってしまった。かつ、そういうのに嫌気が差して船を降りたロアビィも、身を寄せた女性が実は民族自決を唱える反政府テロリストの一味でという…。この辺の描写が実際のアイルランドでのIRAをイメージさせるために、同じくアイルランド出身でテロによって家族を失った設定のロックオン・ストラトスのことが頭をよぎったりw。うん、やっぱ『GX』と『00』ってかなり被ってると思った。
結局、エスタルドは新連邦軍に降伏してしまうのだが、そのことに納得いかずに半ば「特攻」して死を選ぶリー将軍や、一人戦争責任を背負う覚悟をして投降を決意するウィリス王子などの姿には…うん、太平洋戦争と天皇の話をガンダムでやろうとしたんだな、という作り手の勇み足にも似たチャレンジを見て取ることが出来る。果たしてそれが成功しているかどうかは分からない。残念なのは、『GX』全39本の全体のシリーズ構成の中でこの4本が「浮いちゃって」しまっていることである。唯一成功しているとすれば…ウィッツはリー将軍、ロアビィはユリナ、という戦いの中で数少ない心を通わせた相手を失うことで、それ以降「戦う」ことに対する姿勢や意味合いが大きく変化する、という辺りの描写でしょうか。そういう意味では、『GX』を通して観る上でこの巻を飛ばすか否かで全体の印象が少し変わってくるかも知れません。