今までは手に汗握る艦隊戦やMS戦なども楽しめる、
エンターテイメント的部分も多くありましたが、
本巻では大部分が、非常に濃密な人間ドラマに割かれています。
中でも、各人物の過去を遡り、現状との因果関係が判明する部分が
いくつかあるのですが、それは当然、一年戦争からシャアの反乱に
至る過程で、各々がどのように状況に関わっていたかを辿る事にもなり、
各人物像に厚みを持たせています。
それらの登場人物達が、複雑に絡み合いながら展開するドラマが、
本巻の最大の見所ではないでしょうか。
特に前巻で、自らの『義務と責任』に目覚め、ミネバと共に
大胆な行動に出たリディが、連邦議員である父親と再開した際の
一連のシーンが、最も印象に残りました。
ただ、物語は一年戦争以降の出来事にあった背景や意味などを
丁寧に邂逅及び解説しつつ進められていますので、
それを、知識欲を満たす喜びと感じるか、複雑でややこしいと感じるかは、
読者次第かも知れません。
当然、多くのファンは前者かと思いますが…。
ちなみに僕は「あれ?どうだったっけな…」と読み返す事しばしば(笑)。
さて、ストーリーがいよいよ『箱』の核心部分に近付きつつあるのは
間違いないようですが、もちろんまだ判然とはせず、
むしろ、ますます謎は深まっていきます。
一年戦争に始まった壮大なサーガを、どうやって総括するのか?
今後も非常に楽しみですが、企画段階から安彦氏が参加していた
事もあり(本巻も表紙のみ書いています)、大きな期待が寄せられる反面、
生半可な物は容赦なく切り捨てられるのではないかと思われていた中、
コアなファンをここまで引き付ける作者の筆力には脱帽です。