いよいよ一年戦争終盤の大一番、ソロモン会戦。
物語の大筋は原作通りですが、随所に安彦節が炸裂し、激戦の裏にある真実を描きます。
その一つ一つが良く出来ていて、まるで初めて知るストーリーのような錯覚を覚えました。
特に、戦場を駆け巡る戦士達の漢っぷりに、鳥肌ものです。
まず、「マグネットコーティング」のモスク・ハン博士。
前巻のシャリア・ブル同様、キャラ設定が大幅に変わっていて、ここでは野暮ったいけれど仕事に妥協のない、職人肌の技術士官として描かれています。
原作ではイマイチ釈然としなかった新技術について詳細に解説されたり、アニメではウマの合っていたはずのアムロと激論を交わすなど、ここは読んでいて楽しかったですね。
また、アムロも大きな成長?を遂げたのか、皆に「特別扱いされて良い気になって!」と言われ続けていた点に対し、少しも引かずに反論をします。
ここを読むと、アニメでは同調しづらかったアムロの主張にも一本筋が通っていて、納得。
ただ、セイラさんとの間に流れる微妙な空気は、今後の伏線にも思え、ちょっと気になります。
そして、ソロモンと言えば、やはりドズル。
アニメではその死に様に強烈な印象を残しましたが、ここではそこに至るまでの、戦場における戦士のあり方をまざまざと見せてくれます。
特に、ミネバとのシーンは、涙なくして読めませんでした。
安彦氏が一貫して注いできたドズルへの愛情が、この本巻に凝縮されているのでは?
これを読むと、ランバ・ラルがかつてドズルの部下になったのは、決して
部下の生活のためだけではない事が、良く分かりますね。
そして次巻ではいよいよドズルが最期を迎えますが、安彦氏が漢・ドズルの死に様をどう描くのか?今から本当に楽しみです。
そしてそれは同時にスレッガーの最期でもあり、次巻も号泣必至でしょう。
その他にも、キシリアと息詰まるやり取りをするシャアや、ソーラシステムを照射するティアンム、ボールで出撃して死にかけるハヤトなどなど…隅々まで漢たちの躍動が描かれ、戦場の高揚感が伝わってきます。
物語がクライマックスを迎えるのに相応しい盛り上がり方ですね。
また、戦争特需で大儲けする政商ペルガミノも描かれますが、こういった「戦争の現実」を学べる描写は、ガンダムならではでしょう。