『機動戦士ガンダム』という作品は、その後、後日談、外伝、サブストーリー、パラレルストーリーetc.それこそ数え切れないほどの作品展開を、アニメと言う枠組みを飛び越えて様々なメディアに派生させ、従来とは異なった商業展開や制作スタイル、表現方法等を提示することで「娯楽作品」と言うジャンルそのものに大きな足跡を残し、のみならず、模型業界における一ジャンルとしての「ガンプラ」を生み、様々な工業デザインのコンセプトにも影響を与え、その一連のムーブメントを体験した者たちの人生にすら少なからぬ影響を与える様な、一つの巨大な「カテゴリー」として成立していると言っても過言では無いと思います。
それだけのポテンシャルを構築していた要素はそれこそ限りなく思いつく訳ですが、この根源に近いものとして、フィクションであるはず世界に限りない説得力を与えるために、とことんまで練りぬかれた世界設定の緻密さがあると思います。その世界設定を最大限活用し、受け継ぎ、その魅力を再現した様な作品が『MSイグルー』だと、最終巻を見終わった今感じています。
今巻は正しく最終局面、本土決戦間近と言った状況下で主人公たちに託された試験兵器は機動前線橋頭堡ビグ・ラング。最新鋭超高性能機や絶大な威力の破壊兵器ではなく、前線を維持するための支援兵器(しかもどう見ても間に合わせ)にスポットが当てられている点、最後まで『イグルー』らしさがぶれなかった事を先ずは高く評価したい。こういった兵器の存在が許されることそのものが『ガンダム』の世界観の素晴らしさですね。
また、3DCGによる演出が回を重ねる毎にレベルアップしていることが実感できたのも大いに評価できる点です。今巻ではメカのスケール感を出すためのカット割やフォーカスのずらし方などが非常に効果的ですね。後は人物表現をもう少し何とか出来れば、新しい表現スタイルとしての魅力が確立しそうですね。