本作は、ミリタリー調を基本として人間の嫌な面をストレートに表現しながら、戦時の悲恋も同時に描くという難しいテーマを主題としています。主人公が一本気な性格の為に単調な作品になりそうですが、脇役の心の揺れ動きを巧みに描くことで人間の弱さも捉えており、作品のリアリティを保っています。本巻では最終2話とエピローグ1話の計3話が収録されています。
第10話「震える山(前編)」ではノリス大佐が圧巻です。戦争というものが、護りたい人への愛情で成り立っているという悲劇性を粋なセリフ回しで巧く浮き上がらせています。戦争讃歌とならないように、誇り高くも優しい兵士の儚さを描いていると思います。
第11話「震える山(後編)」では戦争時のドロドロとした人間関係を描きながらも、仲間の絆を併せて描くことで、悲惨な中にも人間的な温かみを僅かに残します。それが無かったら救いの無い悲劇・・・戦争とはそういうものかもしれませんが。
第12話に相当する「ラスト・リゾート」[劇場アニメーション]では物語が全て完結します。これが無いと陰惨な作品と感じる人が多かったからなのでしょうか。「ラスト・リゾート」が収録されているところに本巻の救いを感じます。
陸戦用ガンダムが簡単に壊れてしまうシーンは新鮮ですが、メカ好きには描き込みが足りないと感じる部分はあるかもしれません。
ニュータイプが主人公となるシュールな作風のガンダムシリーズ中では「ポケットの中の戦争」などと並んでリアリティを重視した異色作ですが、好感の持てる良い作品です。是非、ご覧になってみてください。