1巻が出た時点でレビューしておりますので作品全体としての評価は定まりませんが、伏線をちりばめつつ各話ごとの盛り上がりもあって、この巻に関してはかなり満足です。
ジョニー・ライデンという人物については、現在までいろんなコミックやゲームで様々な姿で描かれてきており、長い間『ホントのジョニーってどんな人?』と思っていた方も多いのではないでしょうか。そうした素朴なギモンをそのまま実際にお話にしてしまうという発想が、まず面白いと思います。
キャラクターたちについて:
お話の舞台は基本的に宇宙世紀90年で、主人公は1年戦争に関して様々な検証を行う政府機関のメンバーです。主人公およびその周囲の人々については、それぞれの過去についてあまり説明されていないため、今のところ読んでいて感情移入はしにくいかもしれません。彼らの過去についての謎が解明されてゆく(あるいは読者に推測させる)プロセスこそが、この作品の核になるのかもしれません。個人的には、政治家になったゴップの今後が特に気になっていますが。
また、画力も高いと思います。渋めの劇画調から、時にはイヤミにならない程度に萌え要素まで含ませてくる絵の振り幅がスゴい。オジさん、青年、美女、子供(っぽい容姿の女性)、それぞれが魅力的だと思います。
モビルスーツについて:
MSの描写も精緻で迫力があると思います。個人的に、MSV-Rという企画のモビルスーツの設定にはどうにも無理のあるものが多いと感じており、正直デザインにも魅力を感じていませんでした。しかしこのコミックの中では、MSV-Rの機体たちがとても魅力的に描かれていると思います。なにより、お話の中にそれら機体の特徴を上手に絡めてくる著者の手腕に毎回感心させられます。単なる機体の紹介話で終わらせないところが巧いと思います。
総評:
昔MSVにハマッていた世代の方はもちろんのこと、キマイラ隊やジョニー・ライデンのことを知らない方でも問題なく楽しめる作品であると思います。ジョニー・ライデンの人物像について、彼はこうでなきゃイカン!それ以外絶対認めん!という思いがある方が読んだらどう感じるかは分かりませんが。
なおこの作品は、同じ著者の『ギレン暗殺計画』および『光芒のア・バオア・クー』とリンクしている部分もあり、併読するとより深くハマれます。もちろん、それらを未読でも困らない構成になっています。