最近のポップな方向とは打って変わってのロックナンバー「橙」。
インパクトという部分ではいまひとつだった。「恋愛スピリッツ」に並ぶ重い曲だと聞いていた分、期待したより迫力に欠けた。「世界が終わる夜に」の方がサウンドもスケールも重い。ただし、嫌いなわけじゃもちろんない。
「橙」は重いんではなく鋭い。ガツンと衝撃波がくるのではなく、まっすぐ突き刺さるのだ。これはシンプルな作りのせいとなにより詞の力だと思う。他の二人がボキャブラリーを増やしどんどん表現の幅を広げているのに対し、未だ写実的な橋本絵莉子の詞。しかもこれは高校時代に作った曲。気持ちをまんまぶつける強さ。このあたりにチャットモンチーのロックバンドてしてのタフさがある。
そしてそれは福岡晃子作詞「リアル」でも顕著に感じることができる。まさに、かたちのないリアルを表現するバンドだ。
そしてそんな2曲に囲まれても、ポップな「コスモタウン」が全然居心地が悪そうじゃないのがおもしろい。高橋久美子はチャットをねじ曲げる最重要人物である。
絵莉子が深くまで穴を掘って、晃子がそれをさらに広げ、そこからまた久美子が横穴を掘り出す。たとえるならこんな感じ。絶妙なバランスがチャットモンチーの音楽を作り出している。
次のアルバムは絶対おもしろいことになる。