あとがきで橋本治が内田樹に皮肉を言いつつブチまけている。曰く「中身がなくてくだらない」(p330)、「どうでもいい」(p334)。妙な深読みは必要ない。橋本はホントにそう思って、この対談をコキ下ろしている。
収められた対談は、04年冬と05年春の2回行われたそうだ。で、最初の対談は橋本のアイディアが元になって05年1月に立ち上げられた「ちくまプリマー新書」の宣伝のため行われ、一部が「ちくま」に掲載された。因みにこの新書シリーズの001が橋本『
ちゃんと話すための敬語の本』、002が内田『
先生はえらい』。
本書第1部は04年冬の対談だが、そこでは橋本も「宣伝」を意識してサービス精神を発揮したのだろう、たった1冊読んだ内田の対談本に触れつつ「対話は『ごもっとも!』『その通り!』から始まるんだよね」みたいなことを言って(p37)、話は和やかに進んでいく。ところが第2部になると、内田が「〜ですよね」と同意を求めると橋本が「俺はそうじゃないけどね」みたいに返す頻度が急上昇し、話は微妙にギクシャクし始める。橋本治、明らかに苛立ってるね。内田に向って、「俺はアンタみたいな人間になりたくない」とまで(事実上)言っている(p206)。もう「宣伝」関係ないし……
内田サン、橋本を「先生、先生」と持ち上げながら、自分の知力を恃んで橋本の正体を暴こう、捻じ伏せようなんてエライ心得違いだ。『
映画渡世』において山田宏一と山根貞男がマキノ雅弘に対して払ったような敬意が、橋本に対しても払われるべきだったのに。
本のタイトルは、ま、確かに他につけようがないよね。