旋律美と歌心にあふれた、ラフマニノフを彷彿とさせるような、とてもステキな交響曲です。
単に旋律が美しいだけではなく、多様な音楽様式・作曲技法が凝縮されており、繰り返し聞き
たくなる曲です。
沼尻竜典指揮の東京都交響楽団も立派に演奏しきっており、さらに資料的意味においてもこの
ディスクの価値を高めています。
この作品は、「皇紀2600年」を祝う音楽として作曲されていたことから、戦後は思想的政治的等
の理由から長らくアンタッチャブルになっていたようです。確かに、戦争との関連性という複雑
な側面があるのは事実ですが、このような魅力的な作品を埋もれたままにしておくのは、やはり
惜しいことだと思います。
この作品が生み出された歴史的背景や、その後の作曲家の足跡(戦後、懺悔の念に苛まれながら
44歳で胃ガンにより夭逝した)を辿ることは、過去の歴史を直視することにもつながり、その中
には、私たちが未来に向けて生かしていかなければならない「何か」が含まれているような気が
します。