本書は、ジャーナリストで
公害や狭山事件などに関する著作がある著者が
2006年に起きた児童殺害事件の被告人について記した著作。
被告人の生い立ちから、結婚・出産を経て
事件、逮捕に至るまでを、
同級生や知人の証言や
公判に現れた証言・証拠などをもとに追います。
幼い日のいじめや虐待、地域社会での孤立
我が子に対する複雑な思いと
第二の被害者への理不尽な殺意―
いずれの記述も痛切で、胸を締め付けます。
なかでも、個人的に最も印象深かったのは
第一の事件現場である橋の模型まで持ち出し
執拗に行われた、公判廷での検察の尋問の描写。
検察官の言葉は一言一言が鋭く
読者である私の心も貫かれるような感覚に襲われました。
犯罪被害者の悲しみ、加害者家族の困惑
犯罪報道や取材のあり方、
刑事手続きにおける鑑定や事実認定のあるべき姿
そして犯罪被害者保護、死刑制度―など様々な問題提起をする本書。
被告人に同情的な書き方には
違和感を覚える方もいるかもしれませんが、
刑事事件や刑事制裁について、感情ではなく、
自分の頭で考え判断するため、
一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。