1巻ではまだ幼く、健気さが目立った孝二でしたが、2巻では成長とともに、どうにもならない世間の差別という現実にぶつかり、悩み苦しむ中で自分の道を見つけていく過程が描かれています。
大切な人の死、小森での痛ましい事件を経験し、エタとは?差別とは?社会とは何か?を、読者も孝二と共に真剣に考えさせられます。
ここでキーワードとなるのは島崎藤村の「破戒」と「大逆事件」でしょう。
不条理な社会の成り立ち、そこで差別される側の人たちは、最低限の人権さえ当たり前のように奪われなくてはならない。
丑松の懺悔を卑怯だと言いながら、部落を出れば丑松にならざるを得ない誠太郎や秀昭、
差別を否定しながら、心の奥底では差別をしていることにさえ気づかない教師たち、
身分の違う同級生との残酷な恋、
さまざまな人間の弱さと運命の理不尽さに揉まれながら、孝二は社会に立ち向かっていく強い人間に育っていきます。
悲惨な差別の実情を描きながら、一貫して流れる人間愛が、不思議と、勇気と希望を読者に与えてくれます。