明治維新が終わり、日露戦争が終わっても、江戸時代、エタとして扱われた家々、部落は
いまだに不当な差別を受けていた。それは、そんなエタの家族の物語。
かつての日本で、アメリカや南アフリカの人種差別に匹敵するほどの
差別が公然と行われていたとは、と、その事実に衝撃を受ける。
と同時に、不当な差別と苦しい暮らしにもかかわらず、笑いを忘れず、支えあって
生きる部落の結束力と家族の力を、眩しく感じた。
この第一巻では、まだ幼い少年孝二の、真実を射抜く鋭い考察力に目を見張る。
うそやでまかせにおどらされている大人たちをしり目に、自分の力で
物事を考え真実を追求していく様は、古代ギリシャの哲学者そのものではと
思わざるを得ない。
部落差別というぞっとする過去を(もしかして今もあるのだろうか?)描くとともに、
家族の暖かさやこどものたくましさをも丁寧に描いている傑作。