80年代に大学生となり上京した横道世之介の約1年間の生活と、取り巻く人々の20数年後の話が織り交ぜられていて、世之介と同じ頃大学時代を過ごした人にはなつかしくもせつなく感じる1冊です。
これといった強い野心も恵まれた容姿も無く、複雑な家庭環境で育ったわけでもない世之介は確かに同級生に一人はいたような人物で、それでも困っている同級生にバイトで貯めたお金を躊躇することなく貸したり、捨て猫を拾ったりする「力まず親切」な性格が彼のその後の人生に投影されます。
世之介のGFとして登場する祥子さんの「つくづくどこで自分の人生が変わったのだろうかと不思議に思う」「大切に育てるということは「大切なもの」を与えてやるのではなく、その「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることではないか」という思いを、大学生の頃の自分に伝えたくなりました。